名古屋・愛知で介護事業・福祉事業の融資を受けるには?開業資金と審査のポイント
- 7月17日
- 読了時間: 21分

名古屋市や愛知県で訪問介護、デイサービス、障害福祉サービスなどを始めるには、まとまった開業資金が必要です。
事務所や施設の契約費用だけでなく、内装工事費、車両費、備品購入費、求人費、人件費など、利用者からの売上が安定する前からさまざまな支出が発生します。
そのため、自己資金だけで開業費用をまかなうのではなく、日本政策金融公庫などの融資を活用し、十分な運転資金を確保しておくことが重要です。
ただし、介護事業や福祉事業は、社会的な必要性が高いという理由だけで融資を受けられるわけではありません。
融資審査では、介護・福祉業界での経験、人員の確保状況、指定取得の見通し、利用者の獲得方法、開業後の収支計画などが確認されます。
この記事では、名古屋市・愛知県で介護事業や福祉事業を始める方に向けて、利用を検討できる融資制度、必要になる開業資金、審査のポイント、事業計画書の作り方を分かりやすく解説します。
介護事業・福祉事業の開業で融資が必要になる理由
介護事業・福祉事業では、開業前だけでなく、開業後にも多くの資金が必要です。
特に注意したいのが、利用者が増えるまでの期間です。開業した直後から予定どおりに利用者が集まり、十分な売上が発生するとは限りません。
資金不足によって事業を続けられなくなることがないように、設備資金と運転資金の両方を準備しておく必要があります。
指定を受ける前から費用が発生する
介護保険サービスや障害福祉サービスを提供するには、原則として自治体から事業者指定を受けなければなりません。
名古屋市内で介護保険事業を行う場合も、介護保険法に基づく名古屋市の指定が必要です。通所介護など、建物の構造や設備に関する基準があるサービスについては、図面の事前相談も設けられています。
指定を受ける前の段階でも、次のような費用が発生します。
法人設立費用
事務所や施設の敷金・保証金
仲介手数料
内装・改修工事費
消防設備の設置費用
車両購入費
パソコンや事務用品の購入費
採用費
ホームページ制作費
広告宣伝費
物件やサービスの種類によっては、建築基準法や消防法への対応が必要になる場合もあります。
特に施設型のサービスでは、物件を契約してから指定基準を満たせないことが判明すると、敷金や内装工事費が無駄になる可能性があります。物件を正式に契約する前に、行政や建築士などへ相談することが大切です。
売上が安定する前から人件費がかかる
介護事業・福祉事業では、サービスごとに人員配置基準が決められています。
例えば、管理者、サービス提供責任者、生活相談員、看護職員、介護職員など、指定を受けるために必要な職種を確保しなければなりません。
利用者がまだ少ない状態でも、必要な職員の給与、社会保険料、交通費などは発生します。
そのため、開業時の融資では、設備を購入するための資金だけでなく、開業後数か月分の人件費や家賃なども運転資金として計算しておく必要があります。
利用者の獲得に時間がかかることがある
介護・福祉事業は、事業所を開設すれば自動的に利用者が集まるわけではありません。
訪問介護やデイサービスであれば、ケアマネジャーや地域包括支援センターへの営業が必要です。障害福祉サービスであれば、相談支援事業所、医療機関、学校、行政機関などとの関係づくりが必要になることがあります。
開業直後から高い稼働率になることを前提とせず、利用者が少ない状態でも一定期間は事業を続けられる資金を準備しましょう。
開業に必要な金額や、融資でどこまで準備できるか分からない方は、融資申請を行う前に専門家へ相談することもできます。
名古屋・愛知の介護・福祉事業者が検討できる融資制度
介護事業・福祉事業の開業時には、主に日本政策金融公庫や自治体の制度融資、民間金融機関の融資を検討します。
事業の規模や法人の種類によっては、福祉医療機構の融資が候補になる場合もあります。
日本政策金融公庫のソーシャルビジネス支援資金
日本政策金融公庫には、社会的課題の解決に取り組む事業者を支援する「ソーシャルビジネス支援資金」があります。
対象には、保育サービス事業、介護サービス事業のほか、老人福祉・介護事業、児童福祉事業、障害者福祉事業などが含まれます。
2026年7月時点における融資限度額は7,200万円です。返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内とされており、一定の据置期間を設定できる場合もあります。実際の融資額、返済期間、金利、担保・保証人の条件は審査によって決まります。
融資の対象になる可能性がある費用には、次のようなものがあります。
事務所や施設の取得費用
内装・設備工事費
車両購入費
介護用品や備品の購入費
人件費
家賃
求人広告費
販促費
システム利用料
融資限度額が7,200万円だからといって、誰でも限度額まで借りられるわけではありません。
必要資金の根拠や返済可能性、自己資金、事業経験などを踏まえて、個別に融資額が判断されます。
新規開業・スタートアップ支援資金
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」も、介護・福祉事業の開業時に検討できる制度です。
対象は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方です。新規開業に必要な設備資金と運転資金に利用できます。
2026年7月時点では、融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内です。ただし、適正な事業計画を策定し、その計画を実行できる能力があると認められることが条件とされています。
介護・福祉事業の場合は、一般的な創業計画に加えて、指定取得、人員配置、採用、利用者獲得に関する計画も重要になります。
愛知県の中小企業向け制度融資
愛知県では、県内の中小企業者などを対象とした中小企業融資制度が設けられています。
制度融資とは、愛知県、取扱金融機関、信用保証協会などが連携して、中小企業の資金調達を支援する仕組みです。
創業者が利用できる資金や、小規模事業者向けの資金など、複数のメニューがあります。融資条件や必要書類は改定されることがあるため、申請時には愛知県や取扱金融機関の最新情報を確認してください。愛知県は2026年7月3日時点の制度要綱集を公開しています。
制度融資では、金融機関だけでなく、信用保証協会による審査が行われることがあります。
日本政策金融公庫と制度融資のどちらが適しているかは、必要金額、事業内容、自己資金、開業時期などによって異なります。
信用金庫・地方銀行の融資
名古屋市や愛知県内の信用金庫、地方銀行へ融資を申し込む方法もあります。
創業時には、信用保証協会の保証を付けた融資が利用されることがあります。また、日本政策金融公庫から一部を借り、残りを民間金融機関から調達する協調融資が検討される場合もあります。
将来的に新しい事業所を出店したり、車両や設備を追加したりする可能性がある場合は、早い段階から地域の金融機関と関係をつくっておくことにも意味があります。
福祉医療機構の福祉貸付
特別養護老人ホームなどの施設整備や、一定の在宅サービス事業などでは、独立行政法人福祉医療機構の福祉貸付を利用できる可能性があります。
福祉医療機構は、社会福祉施設などの整備に必要な建築資金等について、政策融資を行っています。民間事業者による在宅サービス事業等が対象になる場合もありますが、法人形態、施設の種類、資金使途などによって利用条件が異なります。
小規模な訪問介護事業所などが一律に利用できる制度ではないため、施設整備を伴う事業を計画している場合に個別に確認しましょう。
介護事業・福祉事業の開業に必要な資金
介護・福祉事業の開業資金は、サービスの種類によって大きく異なります。
訪問型のサービスであれば、比較的小さな事務所から始められることがあります。一方、デイサービス、放課後等デイサービス、グループホームなどでは、物件取得費や改修工事費が大きくなりやすい傾向があります。
訪問介護・居宅介護支援の開業資金
訪問介護や居宅介護支援では、大規模な設備を必要としないケースが多いものの、次のような費用が発生します。
事務所の敷金・保証金
事務机や椅子
パソコン・電話・複合機
介護請求ソフト
車両・自転車
採用費
人件費
家賃
広告宣伝費
設備資金が比較的少なくても、サービス提供責任者などの必要人員を確保するための人件費が必要です。
開業直後から十分な訪問件数を確保できるとは限らないため、運転資金を少なく見積もらないようにしましょう。
デイサービスの開業資金
デイサービスでは、訪問型の事業よりも物件や設備に関する費用が大きくなりやすくなります。
主な費用は次のとおりです。
物件の敷金・保証金
内装・改修工事費
消防設備費
入浴設備
機能訓練設備
厨房設備
送迎車両
家具・介護用品
求人費
開業後の人件費と家賃
名古屋市の介護保険事業者の指定手続きでは、原則として指定を受けたい月の2か月前の10日までに申請書類を提出し、同月末までに受理される必要があります。指定は審査後、翌々月の1日に行われます。
書類の準備や修正にも時間がかかるため、開業希望日から逆算して物件、工事、採用、融資申請を進める必要があります。
障害福祉サービスの開業資金
障害福祉サービスには、居宅介護、生活介護、就労継続支援、共同生活援助など、さまざまな種類があります。
事業の種類によって、必要な部屋、設備、職員、資格などが異なります。
名古屋市では、障害福祉サービス事業所の新規指定申請について事前相談が必要です。図面相談は、原則として指定を受けようとする月の3か月前の10日までに申し込むよう案内されています。また、物件の購入・賃借や新築・改修工事の前に、図面が基準に適合しているか相談するよう求めています。
物件を先に契約してしまうと、用途変更や消防設備の追加工事が必要になり、予算を大幅に超える可能性があります。
放課後等デイサービスの開業資金
放課後等デイサービスでは、物件や内装工事のほか、送迎車両、教材、遊具、採用などに費用がかかります。
また、児童発達支援管理責任者をはじめとする必要人員を確保しなければなりません。
採用予定者が退職できない、入社時期が遅れるといった事態も想定し、余裕を持った開業スケジュールと資金計画を作ることが重要です。
介護・福祉事業の融資審査で確認されるポイント
金融機関は、「社会に必要な事業か」だけでなく、「継続して運営し、借入金を返済できるか」を確認します。
介護・福祉事業の融資審査では、特に次のポイントが重要です。
介護・福祉業界での経験
代表者に介護・福祉業界での経験があるかは、事業の実現性を判断する重要な材料になります。
評価につながりやすい経験の例は次のとおりです。
介護職員としての実務経験
管理者や施設長としての経験
サービス提供責任者としての経験
ケアマネジャーとしての経験
相談支援業務の経験
事業所の立ち上げ経験
採用や職員管理の経験
介護報酬・障害福祉サービス報酬の請求経験
代表者の経験が少ない場合は、経験豊富な管理者を採用する、専門家の支援を受けるなど、経験不足を補う体制を示しましょう。
自己資金の金額と準備した経緯
自己資金については、金額だけでなく、どのように準備したかも確認されます。
毎月の給与から少しずつ貯蓄した資金であれば、計画的に開業準備を進めてきたことを説明できます。
一方、申込直前に親族などから一時的に振り込まれた資金は、実質的な自己資金なのか確認される可能性があります。
日本政策金融公庫の創業計画に関する案内でも、借入に依存しすぎない資金計画を立てることや、必要資金と調達方法のバランスを考えることが示されています。
「自己資金が少なくても絶対に借りられる」「自己資金が〇割あれば必ず通る」といった一律の基準はありません。事業経験、必要資金、収支計画などを含めて総合的に判断されます。
必要な人員を確保できるか
介護・福祉事業では、指定基準を満たす人員を確保できなければ開業できません。
事業計画書には、次の内容を具体的に記載しましょう。
必要な職種
採用人数
保有資格
雇用形態
給与
入社予定日
採用方法
採用できなかった場合の対応
すでに採用予定者が決まっている場合は、その方の資格や経歴が分かる資料を用意すると、開業計画の実現性を説明しやすくなります。
利用者を獲得できる根拠
「高齢者が増えているから利用者が集まる」「福祉サービスは需要がある」という説明だけでは不十分です。
融資担当者が知りたいのは、その事業所に利用者が集まる具体的な理由です。
例えば、次のような情報を整理します。
開業予定地域の人口
高齢者や対象者の人数
周辺の競合事業所数
競合事業所の定員
自社サービスの特徴
ケアマネジャーや相談支援専門員への営業方法
医療機関や地域団体との連携
紹介を見込める関係先
開業前後の営業件数
すでに紹介を見込めるケアマネジャーや相談支援事業所がある場合は、どのような関係があり、何人程度の相談を見込んでいるのかを説明しましょう。
売上予測に根拠があるか
融資申請では、希望する売上から逆算するのではなく、利用者数や利用回数を積み上げて売上を計算します。
例えば、訪問介護であれば、次のような考え方です。
利用者数×1人当たりの月間利用回数×1回当たりの平均売上
デイサービスであれば、次のように計算できます。
1日当たりの利用者数×営業日数×1人当たりの平均売上
開業初月から定員に近い利用者が集まる計画ではなく、少しずつ利用者が増える現実的な計画にしましょう。
日本政策金融公庫も、創業計画書の作成にあたり、売上高、売上原価、人件費、家賃、支払利息などの根拠を示すための資料を公開しています。
借入金を返済できるか
金融機関は、事業から生まれる利益によって借入金を返済できるかを確認します。
黒字になる計画だけを作るのではなく、利用者の獲得が予定より遅れた場合も確認しておくことが大切です。
事業計画は、次の3つに分けて作成すると分かりやすくなります。
利用者獲得が順調に進んだ場合
現実的に進んだ場合
利用者獲得が遅れた場合
利用者獲得が遅れた場合でも、資金がすぐに尽きず、返済を続けられることを説明できれば、計画の信頼性を高められます。
融資審査で評価される事業計画書の作り方
介護・福祉事業の事業計画書では、創業の動機だけでなく、指定、人員、利用者獲得、収支、返済までを一つの計画としてまとめる必要があります。
創業の動機と業界経験をつなげる
「地域に貢献したい」「高齢者を助けたい」という思いは大切ですが、それだけでは事業として成功できる根拠になりません。
次の順番でまとめると、説得力が出やすくなります。
これまで介護・福祉の現場でどのような経験をしたか
現場でどのような課題を感じたか
なぜ自分で事業を始める必要があると考えたか
どのような利用者に、どのようなサービスを提供するか
自分の経験をどのように事業へ生かすか
経験のない事業を始める場合は、管理者や有資格者など、経験を補える人材を確保していることを説明しましょう。
サービスの内容と対象者を明確にする
事業計画書には、次の項目を具体的に記載します。
サービスの種類
対象となる利用者
対応地域
営業日・営業時間
定員
職員体制
提供する支援内容
競合との違い
利用者の獲得方法
「丁寧なサービスを提供する」といった抽象的な表現ではなく、「医療的ケアが必要な方に対応する」「土曜日も営業する」など、利用者や紹介者に選ばれる理由を明確にしましょう。
人件費を正確に計算する
人件費を計算するときは、給与だけでなく、会社が負担する社会保険料や採用費も含めます。
基本給
資格手当
管理者手当
通勤手当
賞与
社会保険料
求人広告費
人材紹介会社への手数料
研修費
介護・福祉事業は人件費の割合が大きくなりやすいため、少しの計算漏れでも収支が大きく変わります。
また、利用者が増えたときに追加採用が必要になる場合は、採用時期と人件費の増加も月別計画に反映させましょう。
月別の資金繰り表を作る
年間の利益計画だけでは、途中で資金が足りなくなる時期を把握できません。
開業後少なくとも12か月程度について、月ごとの入金と支払いを整理しましょう。
資金繰り表では、次の項目を確認します。
月初の預金残高
売上の入金額
人件費
家賃
社会保険料
車両費
広告費
借入金の返済額
月末の預金残高
利益が出ていても、入金と支払いの時期がずれると資金不足になることがあります。
最も預金残高が少なくなる月を確認し、その時期を乗り越えられるだけの運転資金を準備しましょう。
売上計画や資金繰り表の作り方に不安がある方は、介護・福祉事業の融資相談をご利用ください。詳しくはこちら。
介護・福祉事業の融資で失敗しやすいケース
融資申請では、書類の記入方法だけでなく、申請前の行動も審査や開業計画に影響します。
行政へ相談する前に物件を契約する
最も注意したいのが、指定基準を確認する前に物件を契約してしまうことです。
必要な面積を満たしていない、用途変更が必要、消防設備を追加しなければならないといった問題が後から判明する可能性があります。
名古屋市も、障害福祉サービス事業所について、物件の購入や賃借、新築・改修工事の前に図面相談を行うよう案内しています。
希望する物件が見つかっても、すぐに契約するのではなく、指定担当窓口、建築士、消防署などへ確認しましょう。
利用者数を過大に見積もる
開業初月から多くの利用者が集まる計画にすると、売上は大きく見えます。
しかし、根拠のない利用者数や稼働率は、融資担当者から計画の信頼性を疑われる原因になります。
営業先の数、紹介を見込める関係先、競合事業所の状況などを確認し、現実的な増加ペースを設定しましょう。
運転資金を少なく見積もる
内装工事や車両に予算を使いすぎて、人件費や家賃を支払う資金が不足するケースがあります。
事業が軌道に乗るまでの期間を考え、売上が計画を下回っても事業を継続できるだけの運転資金を確保することが重要です。
採用計画が決まっていない
「開業前に募集すれば採用できるだろう」という計画では、指定取得の確実性を説明できません。
必要な資格、人数、給与水準、求人方法、採用予定時期を明確にしましょう。
すでに働いている方へ声をかけている場合でも、退職時期や入社予定日まで確認しておく必要があります。
融資申請前に設備を購入する
融資を申し込む前に車両や設備の代金を支払ってしまうと、融資の対象として扱われない可能性があります。
高額な設備はすぐに購入せず、まず見積書を取得し、融資の申込先へ資金使途を確認してから発注するのが安全です。
融資希望額の根拠がない
「借りられるだけ借りたい」という説明では、必要金額を判断できません。
設備資金と運転資金を分け、見積書や月別の資金繰り表を使って、なぜその金額が必要なのかを説明しましょう。
介護・福祉事業で融資を利用するメリット・デメリット
融資を利用するメリット
融資を活用する主なメリットは次のとおりです。
十分な運転資金を確保できる
内装や設備への投資ができる
必要な人材を早めに採用できる
利用者獲得のための営業や広告に投資できる
自己資金をすべて使わずに済む
売上が計画を下回った場合にも対応しやすい
金融機関との取引実績を作れる
手元資金が少ないと、必要な採用や営業を控えなければならず、結果として利用者獲得が遅れることがあります。
適切な金額の融資を受けることで、事業が安定するまでの時間を確保しやすくなります。
融資を利用するデメリット
一方で、融資には次のようなデメリットがあります。
元金と利息を返済する必要がある
売上が少なくても返済は続く
申請書類や面談の準備が必要
希望額どおりに借りられるとは限らない
資金の使い道が決められる
過剰な借入は資金繰りを圧迫する
大切なのは、単に多く借りることではありません。
必要な設備投資と運転資金を計算し、事業が順調に進まない場合でも返済できる範囲で融資額を決めましょう。
介護事業・福祉事業で融資を受けるまでの流れ
融資申請は、次の流れで進めます。
1.開業するサービスを決める
訪問介護、デイサービス、居宅介護、生活介護、就労継続支援、放課後等デイサービスなど、開業するサービスを決めます。
サービスによって、必要な法人格、人員、資格、設備、指定申請の手続きが異なります。
2.指定基準を確認する
名古屋市の担当窓口などで、人員基準や設備基準を確認します。
施設型サービスの場合は、候補物件の契約前に図面相談を行いましょう。
3.必要資金を計算する
物件、内装、設備、車両、採用などの見積書を取得します。
同時に、開業後の人件費、家賃、広告費などを計算します。
4.自己資金と融資希望額を決める
必要資金から自己資金を差し引き、融資で調達する金額を決めます。
このとき、開業後の預金残高が少なくなりすぎないように注意します。
5.事業計画書と資金繰り表を作成する
創業の動機、代表者の経験、サービス内容、人員計画、利用者獲得方法、売上計画、返済計画をまとめます。
6.金融機関へ申し込む
日本政策金融公庫、愛知県の制度融資、信用金庫などから、自社に合う申込先を選びます。
申込先によって必要書類や審査の流れが異なるため、事前に確認しましょう。
7.融資担当者との面談を受ける
面談では、次のような内容を質問されることがあります。
なぜこの事業を始めるのか
介護・福祉業界の経験はあるか
必要な人員を採用できるか
どのように利用者を集めるか
なぜこの融資額が必要なのか
売上が計画を下回った場合はどうするか
借入金をどのように返済するか
事業計画書に書かれた内容を、自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
8.審査後に融資が実行される
審査に通過した後、契約手続きを行い、指定した口座へ融資金が入金されます。
日本政策金融公庫の制度についても、審査結果によって希望どおりの融資額や条件にならないことが明記されています。
指定申請、物件契約、工事、採用、融資実行の時期がずれないように、全体のスケジュールを管理しましょう。
介護事業・福祉事業の融資に関するよくある質問
自己資金が少なくても融資を受けられますか?
自己資金が少ないという理由だけで、必ず融資を受けられないわけではありません。
ただし、借入への依存度が高いと、売上が計画を下回った際に資金繰りが苦しくなります。
業界経験、必要資金、採用状況、利用者獲得の見込み、返済計画などを含めて総合的に判断されます。
法人設立前でも融資相談はできますか?
法人設立前でも融資相談は可能です。
むしろ、法人設立、物件契約、指定申請、融資申請の順番を確認するために、早めに相談した方がよい場合があります。
法人の定款には、実施する介護・福祉事業に合った事業目的を記載する必要があるため、設立前に指定要件も確認しましょう。
指定を受ける前でも融資を申し込めますか?
指定前の段階でも、融資申請を進められる場合があります。
ただし、指定取得の見通し、必要な人員、物件、申請スケジュールなどを説明できることが重要です。
実際の進め方はサービスの種類や申込先によって異なるため、行政と金融機関の双方へ確認してください。
補助金と融資は併用できますか?
条件を満たせば、補助金と融資を組み合わせられる場合があります。
ただし、補助金は申請すれば必ず受け取れるものではありません。また、採択後すぐに入金されるとは限らず、対象経費を先に支払う必要がある制度もあります。
補助金の入金だけを前提にせず、必要に応じて融資や自己資金で支払いに対応できる計画を作りましょう。
すでに介護事業を経営していても融資を受けられますか?
既存事業者でも、新規出店、車両購入、設備更新、採用、運転資金などを目的として融資を受けられる可能性があります。
既存事業者の場合は、決算書、試算表、現在の借入状況、既存事業所の稼働率、新規事業の収支計画などが確認されます。
業績が悪化して資金が不足してからではなく、資金に余裕がある段階で相談することが大切です。
一度融資を断られていても再申請できますか?
再申請を検討することはできます。
ただし、前回融資を受けられなかった原因を確認せずに申請しても、同じ結果になる可能性があります。
自己資金、信用情報、事業経験、採用状況、資金使途、売上計画などを見直し、問題を改善してから再申請を検討しましょう。
まとめ|介護・福祉事業の融資は開業準備の早い段階から進めよう
名古屋市・愛知県で介護事業や福祉事業を始める場合、日本政策金融公庫のソーシャルビジネス支援資金や新規開業・スタートアップ支援資金、愛知県の制度融資などを検討できます。
融資審査では、社会的な必要性だけでなく、次のような点が確認されます。
介護・福祉業界での経験
指定を取得できる見通し
必要な人員の確保状況
自己資金の準備状況
利用者を獲得できる根拠
売上・人件費の計算根拠
借入金を返済できる計画
開業後の運転資金
特に施設型サービスでは、行政へ相談する前に物件を契約すると、設備基準や建築・消防上の問題が判明する可能性があります。
物件契約、内装工事、採用を進める前に、指定申請と融資申請を含めた全体のスケジュールを作りましょう。
また、融資申請では、金融機関所定の書類を埋めるだけでなく、事業経験、利用者獲得方法、採用計画、資金繰りなどを補足資料で分かりやすく説明することが重要です。
名古屋・愛知で介護事業・福祉事業の融資にお悩みの方へ
税理士法人伊勢山会計では、介護事業・福祉事業の開業や事業拡大に必要な融資について、無料相談を受け付けています。
日本政策金融公庫や金融機関へ提出する資料の準備、事業計画の作成など、融資獲得に向けたサポートを行っています。
次のようなお悩みがある方は、早めにご相談ください。
開業にいくら必要なのか分からない
自己資金が少なく、融資を受けられるか不安
日本政策金融公庫と制度融資のどちらを選ぶべきか知りたい
介護・福祉事業の事業計画書を作れない
売上や人件費をどのように計算すればよいか分からない
指定申請と融資申請の順番を知りたい
融資担当者との面談に不安がある
物件契約や設備の購入を済ませた後では、資金計画を変更しにくくなる場合があります。
介護・福祉事業の開業を検討している方は、事業内容や開業時期が完全に決まる前でもご相談いただけます。
※融資の可否や融資額、返済期間、金利などは、申込者の状況や金融機関の審査によって異なります。



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